営業活動の効率化ができるSFAが注目されています。
これから取り入れたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
ただ、「そもそもどのようなシステムなのかよくわからない」という人もいるでしょう。
そこでこの記事では、SFAとはどのようなシステムなのかをまとめました。
SFAでできることや、メリット・デメリットについても紹介していますので導入の参考にしてください。
SFAとはどんなシステムなの?
まずは、SFAがどういったシステムなのかを確認しておきましょう。
1:営業を支援するシステム
SFAとは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」の略で、日本では営業支援システムとも言われています。
営業マンが日々の活動を入力することで、次の行動を明確にしたり、報告書を作成できるシステムです。
SFAは1990年代に提唱され始めましたが、その起源は不明であり、当時ブラックボックス化されていた営業情報の可視化という課題を解決するために生まれたとされています。
1993年創業のシーベル・システムズが、SFAアプリケーションをリリースしたことで、アメリカを中心に普及しました。
海外のトレンドが数年遅れで日本に上陸するという例に漏れず、1990年代後半から日本国内でもグループウェアと共に普及が始まりましたが、当時の伸びゆきは悪かったようです。
理由として、日本は欧米ほどネットワーク環境が整備されていなかったことや、ITスキルを持った人材が少なかったことがあげられます。
しかし最も大きな理由はおそらく、それまで「勘」「根性」「経験」で築き上げられてきた日本の営業文化に受け入れられなかったのでしょう。
日本企業のグローバル化が進んだことと、SFAが進化したことで、日本でも普及するようになりました。
2:SFAとCRMとの違いは?
CRMとは、Customer Relationship Management (カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略です。
顧客の満足度と顧客ロイヤルティの向上を通して、売上の拡大と収益性の向上を目指す経営戦略や手法のことを指します。
SFAと同列に考えられがちですが、SFAは営業に特化したシステム、CRMは会社が顧客情報を管理するためのシステムです。
導入も、SFAが「売上げの最大化」、CRMは「顧客満足度向上」を目的にしていることが多いようです。
しかし最近では、両者の境界線が曖昧になりつつあります。
すべての機能を包括したサービスが盛んになり、「SFAを包括したシステムがCRM」という傾向が強くなっているようです。
SFAで利用できる機能とは?
つづいて、SFAを使うことで利用できる5つの機能を紹介します。
1:顧客情報の管理
CRMと同様、SFAでも顧客情報を管理するための機能が中心になります。
やはり適切な顧客情報あっての営業業績です。SFAでは顧客の社名、所在地、電話番号、担当者、役職、過去の商談履歴、名刺情報などを管理できます。
こういった情報を管理することで、営業マン同士でセールスが重複したり、不適切な対応をしてしまったりといった問題を避けられます。
2:案件の整理
営業活動における、案件ごとの進捗状況や詳細情報を管理・把握する機能があります。
担当者、取引先企業、提案サービス、営業フェーズといった案件の基本情報の管理が楽になるでしょう。
案件の基本的な情報が可視化されることで、営業マン同士で進捗状況を共有でき、引継ぎや他メンバーとの会議を円滑に進められます。
顧客に重複してアプローチをしてしまうといったミスも防ぐことができます。
3:営業マンの行動管理
営業パーソンの行動や結果を記録します。
営業マンの活動内容は、担当者によって異なります。
しかもその活動内容は、結果がわかるまで、他のメンバーや管理者は見ることができません。
この状態では、営業活動のどこに良い点や改善点があるのかが明確にできません。
チーム全体の営業力を向上させることが困難です。
SFAを導入することで、営業活動をまとめて管理して、その活動を数値化できます。
また、活動結果に対する課題点を見つけて改善していくことで、全体としてのな営業力を高められます。
4:売上予測と実績の見える化
蓄積したデータをもとに、売上予測と実績をわかりやすく可視化します。
営業活動の進捗状況が可視化されることにより、営業プロセスの見直しが可能です。
SF案件の進行具合を一目で確認することができるため、これまでは経験や勘で行なわれていた営業活動が、明確なビジョンを持って行動できるようになります。
顧客に必要なアプローチができているのかも確認できます。
メンバー間での営業進捗に関する情報を共有できるため、担当者が不在でも他の人が対応可能です。
5:レポートの管理
営業活動に不可欠な日報や週報などの活動報告をサポートできます。
これまでは営業と言っても、重複的な入力作業、商談の進捗報告、日々の営業活動の記録などの業務が多いのが現状でした。
SFAを導入することで、さまざまな業務を簡略化できるため、営業担当者が売り上げに直結する営業活動に専念できるでしょう。
新規に獲得した見込み客に対して自動でフォローアップメールを送信したり、営業活動の履歴からレポートを自動作成することも可能です。
日々のルーティンワークを自動化することで、事務的な業務にかける時間を減らして、営業活動に集中できる環境を整えます。
SFAのメリットとは?
SFAを使うことでどのようなメリットを得られるのでしょうか。
ここでは、3つの利点を紹介します。
1:営業マンが営業活動に集中できる
SFAには業務改善に関するさまざまな機能が備わっているため、営業マンが営業に集中できるようになります。
活動報告が簡単にできるため、必要な情報を素早く検索できます。
日報や商談リストの作成などはSFAで完結。入力も短時間で済みます。
1度の入力で多くのアウトプットができるので、空いた時間を営業に使えるようになるというわけです。
2:企業全体の動きを改善できる
営業プロセスや進捗状況、顧客との関わり方などを明確に可視化することで、全体としての動きが改善します。
顧客の情報や営業の進捗状況を共有することで、売上予測や課題解決データの分析などに広く活用できます。
これまでブラックボックスなことも多かった営業活動やノウハウを、可視化できるわけです。
そして、営業活動が可視化されることで、営業部全体の売上アップを目指せます。
3:能力の高い営業マンを育てられる
SFAでトップセールマンの行動を分析することで、成功率の高い方法で営業に臨めるようになります。
情報の蓄積と分析を簡単に行えるため、能力の高い営業マンの育成が可能です。
営業マンの退職や転職によってノウハウが喪失することもありません。
また営業マン本人が無意識におこなっていた重要なノウハウの暗黙知の共有も可能になります。
SFAを導入することで、個人のスキルや情報に依存することなく、重要な営業ノウハウを共有できます。
営業に関する教育のコストカットにもつながるでしょう。
SFAを導入するデメリットとは?
営業業務を効率的におこなえるSFAですが、良いことばかりではありません。
SFAを導入することによるデメリットについても知っておきましょう。
1:導入コストがかかる
無料で利用できるオープンソースSFAはあるにはあるのですが、やはり本格的に利用するとなるとパッケージかSaaS型を導入することになるでしょう。
パッケージ型は自社サーバの設置やインストールなどの費用がかかり、導入だけで数百万円かかることは珍しくありません。また、サーバやシステムの管理費や運用費もかかります。
SaaS型は初期費用が数万円程度と安価ですが、月額料金がかかります。
長期的な目線で見るとパッケージ型のコストを上回るケースもあるので、トータルコストを比較することが大切です。
2:営業マンに受け入れてもらえない可能性も
SFAはブラックボックス化されていた営業情報を可視化するためのシステムなので、現場の人間からすればこれまでより多くの情報を提出することになります。
「業務の負担が増える」と「これからの評価が厳しくなる」と考えてしまう営業マンも一時的に増えるでしょう。
現場からすれば業務負担が増えることと評価が厳しくなることは避けたいことですが、会社の方針だからと渋々従わざるを得ないこともあるでしょう。
そうなると、徐々に使われなくなり、ただリスト管理するだけのシステムとなってしまったというパターンも多くなります。
SFA導入の目的と業務効率化の指南、そして評価システムへの影響などを予め説明し、理解を得てから導入することが大切でしょう。
3:機能を使いこなせない場合がある
これもよくある失敗パターンで、SFAは基本的に高機能なのですぐに全てを使いこなすことは難しいシステムです。
ましてや営業マンごとのITスキルにムラがあればシステムに慣れない者が出てくるのも当然でしょう。
意外ですが、成績トップの営業マンほどSFA導入で潰れやすいということです。
実は仕事ができる人ほどスケジュール管理を手帳で行っていたり、アナログ人間が多いのでシステムの利用を強要されるとペースが崩れてしまいます。
こうした理由から会社のエースストライカーを失ってしまうケースも多いので、注意が必要です。
しかも、システムを導入したからといって急激に成績を伸ばす者が出てくるわけでもないので、売上げが大きく落ち込む原因にもなりかねません。
SFAの導入は少しずつ、スモールスタートで徐々に拡大していくのがセオリーです。
SFAの導入で気をつけるポイント
SFAは、導入すれば必ず成果が表せるものではありません。
効果的に利用するには、導入前に、いくつかのポイントをおさえておくことが大切です。
1:企業の課題を明確に
SFAは、営業活動を支援することで、営業力の強化に役立ちますが、単純にシステムを導入するだけで営業活動に効果が現れるわけではありません。
営業支援システムはあくまでもツールとして考え、営業活動の見直しも含めて正しく運用しなければ、導入に見合った効果を得られません。
導入目的を明確にしないまま営業担当者に「SFAを導入するから使え」と指示しても、活用されないことは明らかでしょう。
SFAを使う目的が曖昧だと、社員の理解が得られません。
導入を検討するのであれば、目的を全社員に説明して共有しましょう。
SFAを導入することで営業活動を効率よく進められるという、SFAの基本的な役割やメリットを理解してから運用をはじめる必要があります。
2:営業マンが使いやすいシステムを選ぶ
SFAを導入することで得られるメリットがわかっていても、システムが思うように定着しないことに悩む企業は多いようです。
SFAは、営業担当者がデータを入力しなければ意味がありません。
ところが現場では、「操作がわからない」「入力箇所が増えた」といった不満の声もあります。
これではSFAに対する営業マンのモチベーションがさがり、ストレスが増えることにもなりかねません。
SFAを導入したことが、営業マンの精神的な負荷や業務負担に繋がるリスクもあるのです。
SFAのシステムが多機能なために、社員に浸透するまでに時間がかかりすぎて、にシステムを有効に活用できなかったといったケースもあります。
SFA導入を検討するのなら、営業マンが使いやすいことと、目的に合う機能性を重視して導入しましょう。
まずは、使いやすそうだと感じるか画面構成であるかをチェックします。さらに、入力が簡単に行えるかを確認してください。
選択するだけで入力できる簡単さが重要です。
また、商談中や移動中に使えるスマートデバイスも必要でしょう。
会社のPCでしか入力できないのでは、作業効率が悪いばがりか、対応が遅そくなり機会損失につながることもあります。
3:データを活用できる体制を整える
営業担当者がデータを入力しても、そのデータが活用されなければ意味がありません。
SFAは、単純にに営業活動のデータを管理するだけのシステムではありません。
本来は、営業力の強化や顧客管理を徹底することが目的です。
これまでの営業ノウハウやスキルを全体で共有することで、営業部門全体の底上げにつながります。
データーを活用できるような体制を整えましょう。
まとめ:SFAを使って営業の効率化を目指そう
SFAは、うまく活用することで、効率よく営業活動ができるようになります。
ただ導入するだけでなく、営業マンからの理解を深めるとともに、集めたデータを活用できる環境を整えましょう。
システムの使いやすさも考慮してSFAを選ぶことも大切です。
SFAを活用して、営業活動の効率を高めましょう。